私が資さんで働き始めたのは、高校生のときでした。友人に紹介されて宗像店のオープニングスタッフとしてアルバイトに入りました。最初は「ちょっと働いてみようかな」くらいの気持ちでしたが、あの経験が私の人生を大きく変えました。印象に残っているのはオープン当初の光景です。応援に来られていた部長や課長、店長たちが、ピシッとした姿勢でお客様に向き合っている姿。でも、本当に惹かれたのはその方々の“人柄”でした。当時の私はまだ高校生で、挨拶もまともにできない生意気な子どもでした。それでも皆さんは真剣に向き合ってくれ、仕事のことも、社会人としての基本的なマナーも丁寧に教えてくれました。「この人たちと働きたい」「こういう大人になりたい」と思ったのが、資さんに正社員として飛び込む決め手になったんです。
18歳で正社員になってすぐ感じたのはアルバイト時代との責任の重さの違いでした。接客や調理だけでなく、周りをまとめる立場になったのです。20歳のとき、副店長を任されたときのことは今でも鮮明に覚えています。一番苦戦したのは、年上のスタッフさんにお願いをする場面でした。例えばメニュー変更をお願いすることや、仕事上の指示など、より良い店舗運営のためには立場のある者がしっかりとコミュニケーションを取ってスタッフに協力してもらうことが必要不可欠です。当時の私は言葉遣いも未熟で不器用なところがあり、ぶっきらぼうな言い方をしてスタッフとの間に距離ができたこともありました。そんな私を見て、ある研修の最後に上司がかけてくれた言葉があります。「今まで高橋くんがみんなに愛されてきたんだから、これからはみんなを愛す番だよ」その一言で目が覚めました。そこからは、自分の言葉を見直すようになりました。相手の立場に立って、どのスタッフにも対等に丁寧にお願いするようにしました。最初は自分が下に見られるのではないかと怖かったけれど、実際にはそのほうが相手も気持ちよく動いてくれる。人を動かすのは力ではなく言葉や態度なのだと、身をもって学びました。あのときの苦労は、今の私にとって大切な財産になっています。
22歳の頃、私は店長を任されました。まだ若かったので不安も大きかったですが、同時に「自分に任せてもらえた」という期待が嬉しく、やる気に火がつきました。自分の采配でお店の空気が変わり、売上という数字にも反映される。うまくいけば達成感があるし、失敗すれば悔しい。でもその一つひとつが成長につながっていると感じました。現在はエリア長として5〜6店舗を担当しています。店長時代は一店舗に集中していましたが、今はそれぞれの店舗をどう動かすかを考える立場です。最初は毎日違う店舗を回っていましたが、それでは表面しか見えません。そこで今は週ごとに重点店舗を決め、じっくり入り込んで改善を進めるスタイルに変えました。その方が結果が出やすく、店長やスタッフの意識も確実に変わります。待遇面でも、資さんは頑張りをしっかり見てくれます。店長に上がる頃、制度の変更もあり給与が大きく改善されました。「やった分だけ評価される」という実感はとても大きなモチベーションです。何よりやりがいを感じるのは、店長やスタッフの意識が変わっていく瞬間です。今まで数字なんて気にしていなかった人が、「今月は何杯くらい出ましたかね」と自分から聞いてくれるようになる。そんな変化を見ると、「自分の関わりで現場が動いたんだ」と心から嬉しくなります。
ここまでを振り返ると、一番の財産は「人に恵まれた」ことだと思います。厳しい場面ではいつも上司や仲間に助けてもらい、何度も支えられてきました。もし一人だったら、きっと続けられなかったでしょう。だからこそ今は、自分が周りを支える立場にならなければいけないと強く思っています。昔の私は「自分がやりやすいから」という理由で物事を判断していました。でも今は「みんなが楽になるのはどちらか」「お客様に喜ばれるのはどちらか」で考えるようになりました。視点が変わったことで、チームも自然と一体感を持って動けるようになりました。これからの目標は、資さんの成長にしっかりついていくことです。九州から関西、そして東京へ。全国展開が進むなかで、「全国1位のうどん屋」と呼ばれる存在になれたら、これまでの努力が報われると思います。その過程に関われるのは、何よりも大きなやりがいです。そしてもう一つの目標は、人材育成です。私はこれまで数え切れないほどのチャンスをもらい、たくさんの人に支えられてここまで成長することができました。だからこそ、次は私がその役割を担いたい。若いスタッフに任せ、失敗させて、そこから学ばせる。かつて私がしてもらったように、誰かの成長を後押しする存在になりたいと思っています。